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おっとり系アラフォー女のアメリカでもなんとか生きてますBlog

その②アトピーの話とパティシエ時代の話

 前回の話の続き。

 

 大阪での修行を半端な状態で終えた私は、また一からやり直さなければという思いと、根性のあるタイプでないが故、もうあんまりキツイ思いはしたくないなぁという感情を隠し持っていたと思う。

 アトピーに関しては、実家に戻りしばらくして改善された。アトピーというものは、ストレスなども大いに関係すると思っている。長年それと付き合っているが、今も完治したとは思っていない。見る人によっては全然そうは見えないだろうし、またある人によってはアトピーだとバレる時もある。もっと苦しんでいる人は世界に沢山いることも知っている。昔が史上最悪に酷かったから、その辛さは痛いほどわかる。食生活が乱れたり、過剰なストレスが溜まると、きっとまた再発するだろう。また私の場合、飲食店で主に使われる強力な洗剤も悪化の理由に挙げてもいいはずだ。

 

 強力洗剤に関しては一生怖い敵みたいなものだ。大阪でも辛い思いをしたが、その後どこへ行っても洗剤で悩まされ続けている。歳をとり、ようやくゴム手袋をすることを学んだ(学んだと言うより、吹っ切れたという感覚か。いいじゃん遅くても、こちら手が荒れて酷い目にあうんだ!遅いと思われたっていいや、と。もっと早くからそう思えていたらよかったのに、、、。しかし、若い駆け出しのパティシエには、ゴム手袋ほど邪魔なものはない。私は一刻も早く洗い物を済ませ、次の計量を終わらせ、必要な道具を集め、先輩の作るケーキの技術を学ばなければならなかった。洗い場に時間がかかってしまっていては、大事なところはそう簡単には見せてもらえないだろう。ほんの10数年前だが、まだそんな時代だ。その積み重ねで、ようやく教えてもらえるようになる。そうやって、せっせと自ら肌を傷めつけていたのだから、恐ろしい。

 

 どのように辛いのか、わからない人も居られるだろう。

 とにかく四六時中手が痒い。掻いても掻いても痒いし、掻くとさらに痒いけど、掻き続けなければ、落ち着かない。一生痒い。掻きすぎて皮膚はめくれ、赤く腫れ上がり、汁が出てくる。掻いて掻いて、皮膚を全部剥がそうとしているのか?というぐらいに、まさに気が狂ったように掻き続ける。どっと疲れ、息が切れるほど無心で掻き続けた先に、ようやく達成感のようなものが訪れて、落ち着く。ドラッグをやっている人もこれに似た感覚かもしれないと、これはただの想像だけど、思う。そんなこと、しちゃいけないってわかってる。掻くのを我慢しなければ、治るものも治らない。百も承知なのに、気がついたら掻きむしっている。その繰り返しなのだ。その衝動を抑えたくても、自分では抑えられない何かが体を支配しているような感覚。

もちろん夜も痒い。寝ながら掻いていることは知っていた。だって起きたら布団の上は体から出た皮やカスが飛び散っているからね。赤く炎症した顔から滲み出る汁が寝ている間に枕カバーについて乾き、カバーと頬がくっついて取れない時もある。それをそっと取る時のなんとも言えない虚しさ。

 簡単に言って、そういう感じ。伝わるだろうか?ちょっとやそっとの痒みとはわけが違う。

 ちなみに幼い頃のアトピー全盛期は、これが身体中に起こる。腕も、足も、顔も。顔が一番キツイ。お年頃の女子には特に。

 

 だいぶ時も過ぎ、ほとんどアトピーの症状がない今も、手だけはまだ弱いみたい。どこかの職場なり友人のお宅なりで洗い物を申し出る時でさえ、躊躇するほどトラウマがある。だって、すぐに肌荒れを引き起こすから。冗談ではなくて、合わない洗剤だと本当にたった一回でまた肌は炎症を起こし、恐怖のルーティーンはやってくる。ゴム手がなくては、生きていけない。もうあんなのは、こりごり。だから油断は禁物なのだ。

 だから職場では必ずゴム手袋をしている。自宅では、選ぶ洗剤が良いのか、長年食生活が乱れていないおかげか、ゴム手しないで家事をしても、普段の自宅での生活では症状も出ないし、外で変なものを使わない限り、クリームを塗りたくる量もかなり減った。しかし、「肌に優しい」や、「環境に優しい」洗剤を使っているレストランは少ない。多くの人にとっては、極力抑えたい、どうでも良い経費なのだから。

 

 なんで同じ洗剤を使っているのに、へっちゃらな人がいるの。ブリーチだって素手でいくクレイジーな人もいる。実は私の旦那がその代表みたいなものだ。とにかく肌が強い。妬んではいないけど、妬ましいほどにツルツルな手だ。アメリカの飲食店で働く中で出会ったメキシコ人やフィリピン人もその類。驚異的な強さ。ブリーチに対し素手で向かっていくなんて、ありえない。全く、狂ってるとしか言いようがない。